香坂湊

午後3時22分、依頼物確認。封筒に入っていたのは、一枚の薄紙。文字はなかった。鉛筆で描かれた記号、線 続きを読む…

午後12時38分、文書処理依頼。内容は、「10年以上前に自分が書いた手紙の破棄を代行してほしい」とい 続きを読む…

依頼者は女性。自宅のICレコーダーに、自分の声が入っていた。はっきりと喋っている。誰かに怒っている。 続きを読む…

午後12時07分、翻訳業務。封筒に差出人の記名なし。文面は丁寧で、どこか古い形式の日本語だった。依頼 続きを読む…

依頼者は母親。10歳の息子が「ママ、昔こんなこと言ってたよね？」と語る内容が、彼女の記憶と全く一致し 続きを読む…

午前10時16分、翻訳依頼。同じ手紙の翻訳は、今回で5回目。依頼者は内容に変更を加えていない。毎回「 続きを読む…

午前10時17分、文書添削依頼。内容は「推薦状」。だが、宛先は空欄。日付も未記入。受取人の指定もなか 続きを読む…

午後2時20分、契約書精査。内容完璧。接続助詞の運用も過不足なし。不自然に整いすぎてる。怪しい。 … 続きを読む…

男性依頼者、持参したのは数年前の自筆日記。筆跡も文章の癖も間違いなく自分。でも「書いた記憶がない」。 続きを読む…

午前11時12分、音声翻訳の依頼。依頼者は、整った黒服に銀のイヤーカフをした青年。名前は陽翔──との 続きを読む…