朝は曇り。
雨になるかどうか、誰も断定しなかった。
午前中は「クライアントの声」を整理。
公開用に編集された文章ばかりだが、元の原文は残してある。
「救われました」
「ありがとうございました」
「お願いしてよかった」
言葉は揃っている。温度も揃っている。
削除された行も多い。
たいていは最後の一文だ。
「でも、これで本当に良かったのかはわかりません」
そういう文は、どこにも掲載されない。
昼前、藤本がそれを眺めて
「声って、残すと歪むよね」
と言った。
否定はしなかった。
午後、ネット上で木蘭の噂を見かける。
「構文士の集まりらしい」
「言葉で人を操る」
「洗脳に近い」
どれも新しくない。
理解されないことにも、だいぶ慣れた。
構文士と呼ばれるのは、楽な誤解だ。
人は理解できないものに、名前をつけたがる。
今日も、何人かの声が静かに消えた。
消したのは、こちらではない。
🐧 Yes, but… 感謝と納得は同義ではない。