依頼者は、かつて難民認定を求めたが、不認定。
その後、特定活動での在留を続け、ようやく小さな飲食店を始めた。

──そして今、「経営・管理」での在留資格変更を希望している。

香坂としては、法的な手続きに集中するだけのはずだった。
けれど、藤本が資料を見た瞬間、ぽつりと漏らした。

「──この人、国に戻ったら“他人の名前”で殺される」

本人は何も語らない。
店のことだけ話していたが、申請書の最後の署名は震えていた。

🐧Yes, but…
開業届の控えに添付された店名の下に、小さな文字でこう書かれていた。
「ここが国になりますように」

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