VOIDログ分類:未使用記憶保管庫
匂封銀器内、アクセス回数:3回/週
記憶分類タグ:
PRIVATE
藤本|曖昧|再生専用
銀器から再生される、断片的な視覚。
音はない。
指先が喉元をかすめたときの静電気。
夜の風。藤本の影。
“何も起きなかった”はずの夜。
俺は、その映像を3回再生した。
その都度、何もメモしなかった。
ただ一言だけ、メモ欄にこう打ち込んで──
「これは“保存のみ”。使用目的は、未定。」
📎 追記ログ(メモ:香坂 湊)
「おそらく藤本が意図的に残した記憶。
直接伝えてこないのは、
“俺がこうやって再生すること”を想定しているからだろう。
ならば、俺も応える必要はない。
再生するだけで、十分だ。
──これは、返答の代わりに残す“応答記録”である。」
📎 非公開ログ(手動ロック:香坂)
「あいつの目に映る俺の姿が、
俺自身よりも、俺を肯定していた気がする。
その感覚が、
一番、怖い。」
💠 メタ情報:
この記憶ログは、香坂の“自己記録”ではない。
“他者のまなざしに依存する自己像”として、別のラベルで保存されている。
それでも削除されないのは、
**「その視線の中に、救いがあったから」**──それだけの理由。