「私が覚えている彼と、彼が自分で語っていたことが違う気がするんです」
そう言って彼女は、彼の残した音声メモを持参した。
内容は確かに彼の声だが、冷たく他人事のように聞こえる。
「私が代わりに“彼の真意”を言語化したいんです」
藤本が「それ、翻訳じゃなくて心中だよ」と静かに言った。
木蘭ペンギンは「翻訳とは、愛の代行でもある」とボードに浮かべた。

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