専門職とは呼ばれなかった仕事
——午前、職務内容説明書相談依頼。
会社いわく「専門性の高い業務内容」とのことだったが、書類を見る限り、“間違いがない”ように整えるのがこちらの仕事。
申請者は、技術職として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を許可されていたが、肝心の“どの職務に専門知識が必要か”が伝わらなかったらしい。今の雇用先は、確かに機械の設計・輸出・広報など、いろいろやっている。ただ、その「いろいろ」が曲者だ。
——つまり、なんでもやってる会社では“何かをやらせるため”に専門知識が必要だという証明が、だいたい曖昧になってしまう。
今回は、設計業務に寄せて、不要な業務は極力削いだ。CADやらAPIやら、単語でごまかす時代は終わった。語るべきは、図面の目的と思考の流れ。
そうしないと、ただの“パソコンを使った手先仕事”として片付けられる。
依頼人のまなざしは真剣だった。
でも、真剣なだけじゃ通らないのが、この制度の不条理だ。
納品完了。厚み、証拠十分。
あとは祈るしかない。
……我々が信じるのは、制度じゃない。意味を取り戻そうとする人間の、手書きの余白だ。