名前の綴り、これで合ってますか?
午前10時29分、翻訳業務。
海外文書の日本語化依頼。
本人が提出してくれた英文には、名前の綴りが3種類あった。
「Seyed」「Sayyed」「Seyyed」……どれも“正しい”ように思える。
「どれが一番“自分の名前”ですか?」と尋ねたら、
「書類によって違うんです」と苦笑された。
書類のための綴りと、家族が呼ぶ綴り。
本人が好んで使うものと、役所が勝手に使うもの。
たった1つの名前に、複数の記憶と選ばれなかった歴史が混在している。
今回は、本人の“好きな綴り”を軸に訳文を作成。
念のため備考欄に「別表記あり」と追記。
翻訳とは、意味だけでなく“敬意”を運ぶ作業でもある。
📎備考:
“名前は、肩書きより先に、その人を名乗らせる。
正しいかどうかじゃなく、“本人がしっくり来るか”を、大事にしたい。”