“同じ顔”に見えてしまう人々
通訳依頼は、ある外国人女性。
彼女が語ったのは、長年働いた老人ホームでの話だった。
香坂:「“みんな同じ顔に見える”というのは?」
依頼人:「怒られると思ったけど、本当なんです。
最初は名前も覚えられないし、みんな白髪で痩せてて……
でも、ある日から逆に、全部違う顔に見えてきたんです」
彼女はその「切り替わりの瞬間」を、
まるで記憶の解像度が上がったようだったと語った。
そしてこう付け加えた。
「でも、日本語の履歴書には書けません。
“記憶のピントが合った日”なんて、変でしょ?」
藤本(ふらりと扉の陰から):
「それ、俺なら“個別化知覚の覚醒”って構文化するけどね」
香坂:「用語にすると急に胡散臭くなるな」
藤本:「おいおい、せめて“妖し綺麗”って言ってよ」
🐧木蘭ペンギン:
【みんな同じに見える:新人あるある】
【全部違って見える:バグ修正済】
【提案:見分ける前に、愛せ】
📝香坂後記:
誰かを見分けるってことは、
その人の記憶を“自分の中に保存する”ってことでもある。
だから彼女は、きっともう看護ではなく、介護しているのだ。