その言葉は、誰のものか?
午前11時20分。
若い外国人男性、職業はライター。
ポートフォリオには、言葉が詰まっていた。
ただし、どれも“上手すぎた”。
「全部、自分で書きました」
「この構文、君の文体じゃない」
「……わかりますか?」
わかる。俺は、何百人もの“文章の嘘”を見てきた。
“借りた言葉”は、目線が伴ってない。
書けることと、語れることは違う。
「言葉って、勉強すれば誰でも書けますよね」
「それは“作文”だ。
君の人生を、まだ文章が飲み込めてない」
彼は少しだけ笑って、
「じゃあ、書き直します」と言った。
──そこにやっと、“自分の言葉”があった。
📎備考:
“うまく書く必要はない。
ただ、自分の視点から世界を見て、それを言葉にしてくれ。
俺は、それを読みたい。”